古代鏡展示館は、その名前のとおり、鏡を中心とした中国古代の青銅器等を収蔵し公開する施設として開設され、県立考古博物館の分館に位置づけられた博物館施設です。収蔵するコレクションは500点余りを数えます。
令和3年3月末には第2展示室が完成し、展示作品数も約2倍になりました。また、既存展示室(第1展示室)の展示も一新し、鏡以外の青銅器の逸品も数多くご覧いただけるようになりました。
四季折々の花と緑に囲まれた県立フラワーセンターで、古代の素晴らしい技巧と芸術性に富んだ数々の作品を是非ご鑑賞ください。
兵庫県立考古博物館 館 長
加西分館 分館長 菱田 哲郎
古代鏡展示館(兵庫県立考古博物館加西分館)は、加西市在住の美術品蒐集家、千石唯司氏所有のコレクションの受贈を契機として、平成29(2017)年4月に県立フラワーセンター内に開館しました。
令和3(2021)年4月には新たな寄贈に伴い新展示室を増築し、より多くの作品を鑑賞いただけるようになりました。
千石唯司氏が長年蒐集した中国美術工芸品のコレクションです。平成26(2014)年以降500点におよぶ作品が兵庫県に寄贈されました。
コレクション中核をなすのは300面を超える古代中国鏡です。二里頭(夏)の時代(約3,700年前)から宋代(約1,000年前)までを網羅し、質・量ともに充実した、鏡の文化を知るうえで極めて重要な資料です。
蒐集作品は、商(殷)・周代の青銅器や唐代の響銅器、陶俑など多岐にわたり、美術的歴史的価値の高い作品が数多く含まれています。
西周時代(約3,000年前)の青銅器に記された文字(金文)を図案化したもので、容器の水に映った自分を、大きな目で見入る様子を象っています。
この文字は、やがて「監」と書かれ、さらに、容器が金属製であることから「鑑」となりました。「鏡」の文字が使われる以前の、かがみを意味する古い文字です。
「鑑」には「鑑みる」の言葉が示すように、自己を反省的に見る、真の姿を考え見る、という意味があります。かがみには、人の姿だけではなく、心も映し出す力があると考えられていました。
古代鏡展示館では、鏡の原点に触れることで鏡に込められた古代人の思いが伝わることを願っています。