究極の美と微の綾をなしている景色
外形 | 葵花形 |
装飾 | 平脱 |
時代・年代 | 唐 8世紀 |
直径・重さ | 29.7 cm 2780g |
八弁の葵花(きか)形をなす八花形の大型鏡である。
平脱とは、紋様の形に切った金や銀の薄い板を、器物に貼り付けて飾る技法のことである。その手順は、①金属板を器物の漆下地や中塗り面に貼る、②金属板も含めて、器物全体に漆を塗り、固める、③金属板上の漆塗膜を取り除き、金属板を露出させる、④金属板に主に蹴(けり)彫りによって繊細な紋様を浮き上がらせる、という方法で行われた。
平脱は正倉院では鏡の他、琴や大刀にも使われている技法である。金と銀の造形の繊細さが際だつ上、その色彩の対比が鮮やかで、唐代美術の優美さが伝わる。
寄託品。
図録292