大唐美女の花の貌(かんばせ)を映す
外形 | 円形 |
装飾 | 象嵌 金粒 |
時代・年代 | 唐 8世紀 |
直径・重さ | 5.8 cm 83g |
小型の鏡で、実用品ではなく副葬用と考えられる。円形形の鏡体に金の薄い板を縦方向にはめて紋様を縁取っている。紋様は宝相華(ほうそうげ)といわれるもので、牡丹(ぼたん)や蓮(はす)などの幸運をもたらす様々な花を合成してデザイン化した空想上の花のことである。
宝石をはめ込んだ象嵌(ぞうがん)鏡は、平脱鏡や螺鈿鏡などとともに宝飾鏡と総称される。これらは、特別な技術と意匠を駆使した華麗で多彩な鏡であり、単なる鋳出しの銅鏡には表現できない一層の装飾性と色彩的絵画的な精華が反映されている。盛唐期の金属工芸の一つの到達点を示す作品である。
本鏡には同様に装飾された刀子が伴う。
図録300