金粒と貴石の競演による唐代エキゾチック・スタイルの極致
外形 | 稜花形 |
装飾 | 象嵌 金粒 |
時代・年代 | 唐 8世紀 |
直径・重さ | 8.8 cm 201g |
外縁の六箇所に稜角を設け、その間が内側に刳(く)り込まれて、全体が六つの花弁のような形にしつらえられた小型の六稜鏡である。
金製の薄い板を縦方向に置いて紋様を縁取り、そこに宝石をはめ込んで、さらに金粒で覆い尽くしている。
こうした象嵌(ぞうがん)鏡は、平脱鏡や螺鈿鏡などとともに宝飾鏡と総称される。これらは、特別な技術と意匠を駆使した華麗で多彩な鏡であり、単なる鋳出しの銅鏡には表現できない一層の装飾性と色彩的絵画的な精華が反映されている。盛唐期の金属工芸の一つの到達点を示す作品である。
寄託品。
図録299