国指定重要文化財
箕谷2号墳出土品(平成4年度指定、文化庁所有、当館借用品)
箕谷2号墳は、兵庫県養父【やぶ】市を流れる八木川下流域左岸の谷奥に立地する箕谷古墳群中の、南北長14mの円墳です。
昭和58年、体育総合施設関連に伴う発掘調査の結果、長さ8.6m、高さ1.7mの横穴式石室の存在が明らかになり、その内部から武器類、馬具類、金銅耳環【こんどうじかん】(銅芯に金をメッキしたイヤリング)、土師器、須恵器等、多くの副葬品が出土しました。
これらのなかで特筆される出土品として、「戊辰【ぼしん】年五月▢(中?)」の銅象嵌【どうぞうがん】銘をもつ鉄刀一口があります。
「戊辰年」は、推古天皇16年(608)に当たるとする説が、有力視されています。
年号が記された銘文をもつ古墳時代の刀剣は全国的にみても珍しく、
①奈良県東大寺山古墳出土の「中平」(中国後漢の年号で、184~189年)銘鉄剣
②奈良県石上神宮の「泰▢(和?)四年」(中国東晋の年号で、369年か?)銘七支刀
③埼玉県稲荷山古墳出土の「辛亥年」(471年?)銘鉄剣(国宝)
④福岡県元岡古墳群G群6号墳出土の「庚寅」(570年)銘大刀
⑤熊本県熊本城跡横穴墓跡出土の「甲子年」(604年)銘大刀
⑥兵庫県箕谷古墳群2号墳出土の「戊辰年」(608年)銘大刀
が確認されているのみで、そのうち銅による象嵌は本例が唯一のものです。
箕谷2号墳出土品は、国家が形成される飛鳥時代の地方政策を考える上で、また終末期古墳の年代を示す出土品の一括品として注目されています。
名称 | 箕谷2号墳出土品(平成4年度指定、文化庁所有、当館借用品) |
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内容 | 金銅耳環3、刀剣類(銀象嵌鉄刀1、鉄刀残欠4)、鉄刀子残欠1、鉄鏃19、馬具類(金銅杏葉3、鉄鉸具残欠4)、金銅帯金具17、鉄輪3、須恵器46、土師器2 |
遺跡名 | 箕谷2号墳 |
出土地 | 養父市八鹿町 |
カテゴリ | 国指定重要文化財 |