テーマ4交流 みち・であい

33古代船 ひぼこ

南北を海にはさまれた兵庫。そのつながりの深さをものがたるように、古墳時代の人が描いた船団の絵が見つかり、それをきっかけとして、古墳時代の船を復元することになりました。しかし、絵だけでは情報が少ないので、復元にあたっては、同じ時代の船や、船形(ふながた)埴輪(はにわ)などを参考にしました。

船の種類は、準構造(じゅんこうぞう)(せん)とよばれるものです。縄文時代以来、船は木をくりぬいただけの丸木船が使われていましたが、その上に、板を立てて囲みをつくり、波が入らないようにしたものです。丸木船と、後の時代にでてくるような船全体を板でつないで作る構造船との中間的な形であるので、準構造船と呼んでいます。

前後に大きく立てられている板は竪板(たていた)と呼ばれるもので、船の下半部(かはんぶ)にある丸木船の部分とは、材を組合せることで固定されています。また、丸木船の上に継ぎ足された板は舷側板(げんそくばん)と呼ばれています。舷側板は前後が竪板に挟まれ、下部は桜の皮で縛り付けられて固定されています。

この準構造船という船は、下半部が丸木船であることから、大きさは材料となる木の大きさによって制限されて、幅の広い船を作ろうとすると、それだけ直径の大きな木を必要とします。今回の復元にあたっても、材の入手が困難で、最終的にアメリカ産のベイマツを使うことになりました。古墳時代にはスギやクスノキが使われていますが、材木の入手には手を焼いたものと思われます。