17.特殊扁壺(とくしゅへんこ)
須恵器の一種で、液体などの内容物を注ぐための柄杓のような容器であったと考えられている。柄と本体が一体となって製作されたものと、柄が別につくられて結合するものの大きく2種類に分けられるが、兵庫県内から出土しているものは柄と本体が一体のものに限られている。
柄には竹の節のような表現が見られる例や、中空で筒状となっている例もあることから、本来は柄も本体も木製であったものを焼き物に写した可能性がある。
6世紀後半から7世紀初頭に限定して製作、使用されており、全国でも27例しか出土していない珍しいもので、分布域は東は群馬県から西は宮崎県までである。そのうち柄と本体が一体となったものは滋賀県から愛媛県までに限られている。また、須恵器生産の中心である畿内(大阪南部)からの出土が少ないことも特筆される。
古墳から出土する例が多く、葬送儀礼において使用されたとする説もあるが、例が少ないため明確ではない。栃木県甲塚古墳からは特殊扁壺を手にした女性埴輪が出土している。
【参考文献】竹村亮仁 2015「研究ノート 大川遺跡出土特殊扁壺について」『京都府埋蔵文化財情報』公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター
箱塚4号墳(丹波篠山市)
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