21.針状鉄製品

鉄製(一部は銅製)の細長い針状をした鉄製品。福島県から宮崎県まで広く分布している。古墳時代中期に確認事例が多く、小規模古墳にも副葬される事例が増える。特に奈良県宇陀地域に集中して出土する傾向がうかがえる。

農工具と共に副葬される事例が多いが、他に装身具や武器に近い場所に副葬されている事例もうかがえる。また、被葬者の性別が男女のいずれかに偏る傾向はない。

なお、『万葉集』には、男性が旅に際して針を携行した歌(4420、4128、4129、4130)がある。

さらに、正倉院南倉のは「七孔針」と呼ばれる宝物があり、七夕の際に裁縫技術の上達を願う儀式に使用されたと考えられている。こうした例から、針を使用した手工業(服飾や革製品など)生産に関係する被葬者に伴う副葬品であるとする説もある。

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